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………何、 だ……?
……不覚にも、
オレは、自分の心臓がドクドクいっている音を、イヤっていう程耳に聞かされた。
……何なんだ、 コイツ……。
………ゴクッ
言葉を失ったまま、
乾き切った喉の奥の不快感に耐えられず、オレが生唾を飲み込んだのと同じタイミングで、
「……ま、そゆことでっ☆」
次の瞬間には、
また、年相応の少年の笑顔に戻ってオレの唇からぱっと指を離すと、じゃあね~、また明日☆…そう言って、シンは、後ろ手を振りながら帰って行った。機嫌よさげに、鼻歌なんて歌いながら。
―“野暮”ってゆーんだよ?…
……さっきの、あの時のシンの顔が、今でも目に焼き付いている。無理矢理に振り切ろうにも、それはあまりに鮮明すぎて…………。
驚きとか戸惑いとか、
ムカツキとか、恐怖とか……。
そんな次元の言葉じゃとても言い表わせそうになかった。
………シンのヤツ、
どういうつもりであんな………。
―ナイショ事はお互い様でしょ…
……………。
……あー………くそ、
正直、
それ以上は考えられなかった。
……というより、
考えたくなかった。
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