四章 願い

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………何、 だ……? ……不覚にも、 オレは、自分の心臓がドクドクいっている音を、イヤっていう程耳に聞かされた。  ……何なんだ、 コイツ……。 ………ゴクッ 言葉を失ったまま、 乾き切った喉の奥の不快感に耐えられず、オレが生唾を飲み込んだのと同じタイミングで、 「……ま、そゆことでっ☆」 次の瞬間には、 また、年相応の少年の笑顔に戻ってオレの唇からぱっと指を離すと、じゃあね~、また明日☆…そう言って、シンは、後ろ手を振りながら帰って行った。機嫌よさげに、鼻歌なんて歌いながら。  ―“野暮”ってゆーんだよ?… ……さっきの、あの時のシンの顔が、今でも目に焼き付いている。無理矢理に振り切ろうにも、それはあまりに鮮明すぎて…………。 驚きとか戸惑いとか、 ムカツキとか、恐怖とか……。 そんな次元の言葉じゃとても言い表わせそうになかった。  ………シンのヤツ、  どういうつもりであんな………。 ―ナイショ事はお互い様でしょ… ……………。 ……あー………くそ、 正直、 それ以上は考えられなかった。  ……というより、 考えたくなかった。 
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