8766人が本棚に入れています
本棚に追加
/467ページ
すぐに鍵屋さんが来て、我が家のカギは身分を証明しメーカーに取り寄せをしないとスペアキーが作れない頑丈な鍵に変わった。
その鍵はお母さんと私が持つことになり、足りない分のお父さんのカギは、早速取り寄せになった。
そして、お父さんが明日帰るからと、今夜は気分だけでも明るくしようとご馳走だ。
どうしてもと、お父さんが聡を引き止め、聡も一緒に食卓を囲む。
「本当にすみません。
僕まで図々しくご馳走になって。
しかもこんな豪華な料理…」
「黒部君は1人っ子なのかい?」
「はい。小さい頃から両親はクリニックを開業してましたから、いつも食事は1人でした。
それは今もなんですけど…。
でも、1人でも危なくないようにと護身術も習わせてもらったし、僕のやりたいことは全てやらせてもらってます。
だから、こうして家族団欒っていうのが経験ないんですよね」
「うちも葉月に何か習い事をさせれば良かったわね」
「したじゃない。ピアノ」
「でも3ヵ月で止めたでしょ?」
「葉月はすぐに諦めちゃうんだ。
自分の限界を自分で決めるっていうのかな…。
そのくせ、色んなことに興味は持つんだけどな」
「もう!! お父さんもお母さんも、聡の前でそんな話ししなくて良いでしょ?」
私は頬を膨らませた。
最初のコメントを投稿しよう!