序章

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あれからわたしは、空と海を見ている。 スピラの空を数え切れない魂が照らし、1000年の悪夢が終わりを迎えた夜明けから――わたしたちが『シン』を倒したあの日から、ずっと……。    今、晴れ上がった空は青く、どこまでも澄みわたっている。降り注ぐ暖かな太陽の光が突然、巨大な災いの影にさえぎられることはもう、ない。  海はゆったりとうねって、さざ波がキラキラと輝いている。この穏やかな水面が、山のように盛り上がって街を飲み込むことも、二度とない。
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