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「アリス!!大丈夫!?」
アリスが目を覚ますと、泣き腫らした母の顔が真っ先に飛び込んできた。
彼女はアリスの驚いた顔を見ると、安心したようにため息をついた。
「よかった、ママね、あなたが屋上から落ちたって聞いてもう本当に…死んでしまったんじゃないかって…
お医者さまにも助かる確率は低いって言われて不安だったの…ああ、アリス!!」
アリスにはわけが分からなかった。
何故母が泣いているのかも、体中が痛むのも、ついでに後ろの医者まで泣いているのも。
「本当にきみは運がよかった。一歩間違えれば、きみは死んでいた。」
その医者が馴れ馴れしくアリスの肩に触れた。虫酸が走る。
「あの、あの私は何かしたんですか?」
「え!?」
母が彼女の目を見つめた。
「あなた、何が起こったかわかんないの?」
「うん。母さんが泣いてるのもわかんない」
医者がか弱く微笑む。
「きみは屋上から落ちたんだ」
アリスは瞬いた。
「え、私が?どこから?」
もう一度医者は微笑んだ。
次はニッコリと。
「君が覚えていないなら、自殺ではなさそうだね。よかった。安心した。」
「学校の屋上から落ちたのよ。6階から真っ逆さま」
「・・・ええー!?私!!ど、どうりで体中が・・・痛っ」
母は、元気そうなアリスを見て安心した。
「では先生、一応退院してもいいんですね」
「ええ、自殺ではないと分かれば、二度と起こさないでしょうし、彼女は体が強かったのでヒビ一つ入っていません。
しかし体中に傷がつき、少ししみると思います。
下が木だったから傷だけで助かったものの、本当に危なかったですぞ」
アリスにはまだ何も飲み込めていなかった。
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