黒を這う手、掴むモノ。

15/39
4947人が本棚に入れています
本棚に追加
/709ページ
「そぉ言えばお互い名前も知らないね。僕は碧(ミドリ)だよ」 「ミドリ…」 懐かしい名前に、少しほろりとくる。現代の緑も、まぁまぁ良い声してたらからちょっとダブるなぁ。 「で、君は?」 「私…私は真……お?」 「?マオ君?変わった名前だね」 「…はぁ…ども」 危な!? そういや私男装してるんだった!?うっかり本名言うところだったよ! 今は敵陣にいるんだ。 すぐにどうこうされる気配はないけど気をつけなきゃ…。 「で、マオ君。君は今の現状を理解出来ているかな?」 「や…ちょっとまだ混乱してて…」 「そうか。じゃ簡単に説明するよ。まず君が新撰組の隊士で、局長小姓だという事は私達にばれてる。そうと知った上で誘拐したからね」 ……え? 「…あ、本当に気づいてなかったんだ。僕達の狙いは君だよ。柊…マオ君?」 「え?いや、…ぇえ!?私?貧乏なのに!?」 「貧乏関係ないから…。お金なんてどうにでもなる。我々が欲しいのは別のものだ。解るね?」 「………」 やっばいなぁ…これ、私一人の危機じゃないよね? 求められてるのは…新撰組、ひいては局長の情報…。
/709ページ

最初のコメントを投稿しよう!