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「ヴゥォォォォ…」
辺りに冷たい風が吹き付ける中、枯れた麦畑の中で幾つもの屍達が静かに呻き声をあげていた…
…ブロロロロロ!…
ダダダダダダダダ!!!
そんな中、その後方で車の駆動音と共にけたたましい炸裂音が鳴り響き、側にいる屍達の頭や胴体を吹き飛ばして行った…
辺りに鮮血が飛び散り麦穂を紅く染める…
続いて先程の方向から幾つものエンジン音が聞こえ、辺りは一気に騒がしくなった。
ゾンビの中の一人がそれに気付くとよたよたした足取りでその場から離れようとした…
だが、無常にも周りにいる仲間達はタイヤの下敷きになって引き潰されたり、走っている車の荷台に乗っている人間が手にしているバットや刃物等によってズタズタにされていく…
「…おい!アイツを逃がすな!」
どこからかそんな声が響き、一台の車がこちらに向かって来た…
必死に逃げようと足を動かす…
しかし車の速さに勝てる筈もない…
ガンッ!!…
鈍い金属音が後頭部から響き、彼は地に倒れ込んだ…
「いよっしゃー!命中!」
手にバットを持っている男が車から降り、彼の近くに寄った…
…体が自由に動かない…
「おい!見ろよ、コイツまだ生きてやがる!」
「ちゃんと急所を狙えよ!」
「狙ったさ!」
上で話しあっている声が聞こえる…
「まったく…役にも立たないのに生き残ってんじゃねぇよ!」
ブォッと何かを振り上げる音が聞こえた…
…その瞬間、彼の体にある変化が起こった…
バキャッ…ビキッメリメリメリ…
「うわっ!何だコイツ!」
「早くっ…早く殺れ!」
ガッ!ビシッ!ドッ!
男は両手に鋭い爪を生やし始めている彼を上からバットで叩きつけた…
しかし、彼には全く通用しないみたいだ…
彼は両手で地面を押してゆっくりと立ち上がった…
「ひっ!…」
「何だこの化け…」
ズシャッ!
「ギャアアアアア!!」
その瞬間、男の側にいたもう一人の男の腹がちぢれ飛んだ…
彼の手には男の内臓が握られている…
「や…やめろ…寄るな!」
だが、そんな男の言葉は彼には聞こえる筈もなく、赤い目で男を睨みつけた…
「ひっ……」
そして動きが止まった男の頭を右手の爪で勢いよく振り払った…
ブシャアッ!…
頭が飛び散り、首からは血が吹き出てゆき、ゆっくりと地面に崩れ落ちて行った…
「ヴゥォアアアアアアアアアアア!!!」
彼は両手を広げ、大きく雄叫びを上げた…
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