死んだ少年

2/2
52人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
僕は今学校の屋上にいる 遺書を足元に置き、靴を脱いで準備は万全だ 手には汗がにじみ足はガタガタと震える 今ここから飛べば楽になれるんだと強く自分に言い聞かせる そして僕は屋上から飛んだ…… 僕の体はどんどん落ちて行く…………。 ふと気付くと僕は自分の家の前に寝転がっていた。 意識が無くなったのだろう 僕はふと思った死んだのだろうか…。 でも自分の体はちゃんとあるし、傷は一つもない。 あるのは、屋上から飛び降りる前に着ていた服とズボンだけだ。 周りには黒い服を着た人達がいる、その人達の中には僕の家の隣に住んで居るおじさんもいた。 これは葬式だなと思い家に入ろうとして人の間をくぐり抜けようとしたその時…………。 僕の体が人をすり抜けた。 僕は勢い余って床に倒れてしまった。 まさかテレビや映画みたいに本当にすり抜けるとは思わなかった。 僕は体を起こし、恐る恐る人に触れようとした。 やはりすり抜ける。 僕は何故か嬉しくてその場で何度もすり抜けるのか試していた。 そうだこんな事してる場合じゃないと思い、家の奥に入っていく。 居間に僕の写真が飾られてその前には棺桶があった やっぱり僕の葬式だったんだ…… クラスの皆は一言も喋らずに下を向いている…。 母さんは泣きながら 「純一帰って来て」 と叫んでいた。 そして父さんは涙をこらえながら無言で、泣き叫んでいる母さんの背中をなでる… 兄貴は二階の自分の部屋に行ったみたいだ。 悪い事をしたと涙が出る。 いやどちらかと言えばこんなに僕の為に泣いてくれる人が居るのが嬉しかった…。 僕は涙を拭いて兄貴の部屋に行った。 兄貴はベッドに横になり泣いていた…。 「兄貴ごめん」 と僕はつぶやいたがやはり兄貴には聞こえないみたいだ…。 僕はその時初めて死んだ事を後悔した。 もっと家族と一緒に居たかった……もっと学校の皆と仲良くすれば良かった…… 僕は兄貴の横で泣きながら立っていた。 …………1時間位は経ったかな、兄貴は涙を流したまま寝てしまっていた。 僕は泣いてても仕方ないと家族の事を忘れ家を出る。 死後のルールを知らないまま……。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!