棄て猫ミィの物語(1)

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雨が降っていたある日、下校途中の公園で、ミィ~ミィ~と小さく泣いている猫の声に気がつきました。 信哉くんは、公園へ入り声のする方を探していました。 そこには、ずぶ濡れになった子猫が、ダンボールに入れられ小さな身体を震わせていました…「この仔をひらって下さい」という貼り紙は、雨で文字もにじみ、泣いている仔猫の気持ちの様な気がして、僕は、とても胸が苦しくなりました。 僕は、仔猫を抱き公園の土管の中に入りました。「冷たかったね…今、拭いてあげるからね…」 信哉くんは、ポケットからクシャクシャになっているハンカチを出し、そっと仔猫の身体を拭いてあげた…。拭いてもまだ、小さな身体を冷たくカタカタと震わせて、小さな声でミィ~と泣いている。信哉くんは、仔猫を制服の間に入れて温めてあげた…『どうしよう…連れて帰ったら、ママに怒られるかなぁ…、でもこんな雨の日にほって置いたらきっと死んじゃう…』 僕は連れて帰る事に決めました。仔猫が落ちないように、制服のボタンを1つだけしめた…、仔猫を支え、片手でランドセルを腕に引っかけ、傘を持ち、濡れないように、落とさないように、ゆっくり家に帰りました。
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