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「今日から?」
「うん。すごいよ。5組の廊下には人垣ができてる。
もうファンクラブ部長の名乗りをあげた男子が何人か」
今までうちの学年に、そんなファンクラブなんてできたことないのに。
あたしはなんだか納得いかなかった。
「ファンクラブって…そういうの、なんで作るの?
告って付き合ってもらいたいんじゃないの?ファンになってもしょうがないじゃん」
「菜緒ってバッカねー」
玲が呆れたように言う。
シンといい、玲といい、あたしの周りにはあたしをバカにする人しかいないのかっ
なんか悲しくなってくるぞ。
「ファンクラブっていうのは、牽制(ケンセイ)であり、協定なわけよ。わかるぅ?
コレはどう見ても、誰が見ても、とびきりの上玉だっ!
俺が手に入れたいけど、簡単に手に入るとは思えねぇっ!
誰かが先に告って強引にもってかれたらたまらねぇ!
力任せに先に押し倒すようなヤツがいてはなんねぇーっ!!」
玲が叫んだので、あたしは動揺しまくって、「あわゎ……」とか言いながら椅子ごと後ろに倒れてしまった。
ドンガラガッシャン。
「あーもう、菜緒ったら何してんのよーっ」
玲が、太くないのにしなやかな筋肉のついた逞しい腕で、ぐいっと引っ張りあげてくれる。
「菜緒ってホント漫画みたい~~~」
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