出逢い

2/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
学校帰り、いつも通っているゲームセンターに足を運んだあたし。 とある人気レースゲームをプレイするためだ。 お店に入って左に真っ直ぐ進むと壁に向かって二台並んだそれが置かれている。あたしは歩きながら財布の中に100円玉があるのを確認し、目的地に到達。 二台並んだ方の左側に乗車する。 ここまで読んですでに違和感を持った人はいるはず。そう、女のあたしがレースゲームをプレイしている様は男性にとっては実に珍しい光景なのだ。あたしも実際このお店でレースゲームをプレイしていた女の子は過去に1人しか見ていない。都会ならそんなの沢山いるんだろうけど、ここは田舎だからしょうがない。 だから女がこうしてプレイしているのは珍しい光景なのだ。 そりゃあ、プレイしてて少し不安もある。変な男の人に声かけられないかとかギャラリーが集まって来ないかとか。しかし、幸いこのお店は大人しいお客さんたちの集まりで、あたしのプレイを見ても遠くから数秒立ち止まって見てたり、歩きながら見ていったりでギャラリーが集まることなく、静かにプレイできるのだ。以前違うお店でプレイしたときはギャラリーが10人ぐらい集まってきて、やめ時が解らなくなって大変だったことがある程なので、このお店は安心してプレイできる穴場なのだ。 さぁ、今日ものんびりプレイしよう!と思い、財布のチャックを七分開けたあたりで 「あの…」 声がした。 どこから?右から。右の方から声がした。右の耳に声が入ってきた。 あたしは顔を上げる瞬間…一秒あっただろうか…その一秒の間にすでに動揺が始まっていた。何故ならその声は か細く、透き通った 女性の声だったからだ。 顔を上げてみた。 友達や知り合いならその動揺は消えていただろう。しかしあたしの心臓の鼓動はさらに速さを増していた。 全く知らない人だった。 頭の中をフル回転させたが確かに知らない顔だった。なら、誰かの妹や姉だろうかと思っていると 「あの…」 とまた言ってきた。 無理もない。あたしは返事をしてないからだ。 「はい?」と返した。 すると彼女は
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!