キショウブ

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イロイロと考えていると─考えは纏まらないまま雨の中を歩いて私はいつの間にか帰りたくない、と思っていた家の前まで来ていた。 外から見て家の電気はついていない。 「そっか今日、お母さん仕事、か…」 何回も感謝した母親の仕事。 私の家は共働きで父は単身赴任、母は看護師。 家の鍵を─さっきの行動からは考えられないほど─すんなりと開け、家に入る。 人のいない家が妙に安心した。 この世界はどこに行っても人がいて何処にいても苦しくなる。 前まではそれが普通だから気にならなかったが今ではそれが 怖くなった。 何処にいても泣けない… 学校にも家にも町にも……泣きたいが為に山にでも入る? バッカじゃないの。 けれど考えてしまう。 一回でいいから人が皆いなくなってしまえば良い。 いままで思いすらしなかったこの気持ちが私には何か分からなかった。 何故か、も… それが私だからか、 人間だからか…… ただ、この悩みは解決することは無い、と私は思う。
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