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小学校の記憶で一番温かい記憶もこの頃です。
班の仲間で遊ぼうという先生からの宿題が出されて、班で集まっていた時、私は最低なことに、ふざけて冬の好きな人をばらしてしまいました。
そこには冬の好きな人もいて、冬は泣きながら家へ帰ってしまいました。
私もさすがにまずいことをしたと気がつきましたが、「スキナヒト」の意味も表明でしか理解していない私は、なぜそこまで悲しむのかわかりませんでした。
ただ私が傷つけたことだけは、冬の態度から理解出来ました。
落ち込む私を、弘は「なんだあいつ、気にすることないよ」と庇ってくれました。
私が悪いのは十分にわかっていたのに、庇われることが心苦しかったのですが、さすが小学校4年生、その一言で全て救われました。
そんなことがあった日の前後、給食の時間に弘が「友(ゆう=私)の好きな人って誰なの??」と聞いてきました。
正直いませんでした。
話題の中心になって注目されたい気持ちが強かった私は、彼との二人きりの話でも飽きて話が終わってしまうのを恐れて、「さぁ~教えなぁ~い」とごまかしながら、相手の興味を煽(あお)ってました。
今でも後悔しているのはこの時に「弘だよ」と言えなかったこと。
弘の優しさ、明るさ、一緒にいて面白いところに確かに惹かれている自分がいたからです。
そのことに気がつくのは、弘が引っ越してしまった時よりもずっとずっと後でした。
小学校4年生の甘酸っぱい記憶です。
沢山の友だちに囲まれて、優のいない、温かい、一番幸せな時期でした。
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