これが日常

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教室の開けられた窓から入って来る秋の心地良い風に誘われ、眠りの世界に堕ちてしまった俺を終業のチャイムが現実へと引き戻す。 そのチャイムを合図に黒板に何かを書いていた先生が手を止める。 「今日の授業でやったところ、来週小テストするからなー?」 先生は、それを言い終わると日直の号令もそこそこに教室から消えて行った。 眠い目を擦りながら、黒板に書き残してある、まるで異国の言葉と間違えるような数式をノートへと書き写す。 と、そこにクラスメイトで同じバレー部に所属している吉河 勇人〈ヨシカワ ユウト〉がやって来た。 「おはようさん。 いやぁ、見事な爆睡でしたな。」 俺は持っていたシャーペンをノートに転がし返事をする。 「昨日の試合の疲れが残ってんのかね?午後の授業はシンドかったわ。」 「まぁ、飯食った後にこの陽気じゃ仕方ないよな?」 「そういうこと。」 黒板に目を戻すと、書かれていた数式のほとんどは日直によって消されてしまっていた。
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