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―放課後
誰もいない教室
俺は机の中の物を、鞄へと移動させた
担任に呼び出され
逃げ遅れた俺は久々に延々と説教された
―ふざけんな
1時間以上も説教すんなよ💢
遅刻早退が多いだの
授業を受ける態度がなってないだの
あー、もー
メンドクセぇ…
―と、
机の中からヒラヒラとピンクの封筒が落ちた
チッ
またか…
俺は封筒を拾い上げた
《郁弥さま》
丸まっちい、可愛らしい文字
後ろを見ても
差出人の名前は無い
ただ、封をする所に
赤いハートが貼ってあった…
………
今時…
こんなベタなラブレター………無いぞ
俺は少し考えて
封筒を破り捨てようとした
「なんだ?
フミヤ手紙かぁ?」
―『ぅわッッ💦💦』
ひょいっと後ろから
封筒を奪われた
誰もいないと思ってたから俺は普通以上に驚いた
心臓がバクバク音を立てる
振り向くと俺の悪友
政治が勝手に封筒を開けていた
『おい!!
返せよッ!!』
「破ろうとしてたじゃん❤」
俺が封筒を取ろうとすると政治はスルリと避けた
「郁弥ってば酷いよな~
せっかくくれたラブレター破ろうとしてさ~」
『返せよ
てか、そんなの本気じゃねぇよ』
「何でわかるのさぁ?
……なになに?伝説の木の下で待ってます?」
『返せよ』
手紙を読んだ政治は
あっさり封筒を返してよこした
『……ったく』
俺は一応
封筒を畳んでポケットに入れた
『お前、帰ったんじゃないのかよ』
「愛しの郁弥くんと
帰りたくてぇ❤」
………
「言っとくが
冗談だぞ?」
『笑えねぇよ💧』
悪い冗談だ
『帰るぞ』
「おぅ」
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