あいつとわたし

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 私、大城 明矢香(オオシロ アヤカ)十二歳。今年、西南(セイナン)中学に入学した。  入学式は、いいと思った。でも私は、その後にとんでもなくひどいことになるとは、思ってもみなかった。  私の左斜め前の"あいつ"は眼鏡の奥に潜む真面目そうな瞳で真っ直ぐ、前を見つめていた。何か遠くを見るように……。  私は"あいつ"に 「何を見ているの」 と聞いた。  すると…… 「朝木(アサキ)先生を待っているのです」  という真面目な返事が返ってきた。  もう返す言葉がなかった。
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