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「寄って行ってよ」
裕の家の前に着くと、門の前で、裕が言った。
「久しぶりに。親もいないし」
言ってから、「あ、変な意味じゃないから」とあたふたする裕を見て、首をかしげる。
(変な意味ってどんな意味?)
よく分からないまま、鈴は裕の申し出を快諾した。
裕の家に入るのは本当に久しぶりだ。
たぶん、小学校の時以来。
裕の後を追って玄関を入ると、ひっそりと静まりかえった廊下を進んだ。
途中、垣間見えたリビングやキッチンが、妙に殺風景なのが気になった。
「うち、両親とも、最近はあんまり家に帰らないから」
小さく笑って、裕が説明した。
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