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>「…残念。今日は獲物が来てないなぁ」
>24時間営業のファミレスの片隅で、零崎紅織は溜息混じりに呟いた
>
>「あーぁ、折角ナイフ新調したのに」
>ぼやきつつ紅織はピラフを口に運ぶ
>よく噛んで飲み込むと、今度はチキンサラダへとフォークを伸ばす
>「何時もこの時間くらいに来てハンバーグセットAを食べて、ホットコーヒーを飲んで帰るのに」
そう呟くとキュウリを口に入れシャクシャクと噛み潰していく
>ゴクリと飲み込んでオレンジジュースを啜る
>「…人識が狩っちゃったのかなぁ…?」
>そう呟くと、紅織はテーブルに置いてある懐中時計に視線を走らせた
>午前零時二十八分五十七秒
>
>「……待っても来そうにないし、今日は諦めて、別の獲物で零崎を始めちゃおっかな」
>タイムリミット来ちゃったら困るし、と胸の内で呟く
>「……うん。そうしよ」
>紅織はにこっと無邪気な笑みを浮かべた
>
>「さてはて、今夜はどんな獲物が網に掛かるかなぁ…?」
>
>その呟きを聞いたウェイトレスが、怪訝そうな顔をして傍らを通り過ぎて行った
>
>彼女は知らない
>その背に、紅織がぞっとするほど凄惨な笑みを浮かべて視線を注いだのを
>
>そして――彼女の運命が、決まった
>
>「今度、朱識に頼んで殺してもらおっと」
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>[絶対無敵]<ノーバディビーツ> 零崎紅織ゼロザキベニオリ
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>それが今現在の彼女の名前だった
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>―さぁ、零崎を、始めよう?
>
>
> 序<序章の零崎>了
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