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昼でも日が射し込まない、暗い暗い森の中。二人の少年が、奥へ奥へと歩いてゆく。
「なっ、なぁボリス……。やっぱり引き返そうぜ」
「大丈夫だって、あいつの言う事なんてウソに決まって……」
そう言って、ランタンで辺りを照らしながら進むボリス。もう一人の少年も、続けて跡を追う。
(大丈夫、大丈夫……。魔女なんて……!?)
突如、木々が擦れ合う音が響き渡る。二人は肩をすくめたが、ただ鳥が動いただけだろうと結論付け安堵の息を漏らした。
其の時、
「イ~ヒッヒッヒ!」
黒い影が木々の間から猛スピードで此方に向かって来た。
「うわぁあぁぁ!!」
「出たあぁぁあぁ!!」
其れを見た二人も、猛スピードで此の場を去って行った。そして二人が立って居た所には、紐で吊られた黒い布がゆらゆらと揺れている。
『イ~ヒッヒッヒ! イ~ヒッヒッヒ!』
すると別の少年が近付き、黒い布の中で未だに動き続けるカセットテープを止めた。
「ぷぷっ。ボリスの奴、大丈夫だなんて言っといて真っ先に逃げやがった」
にやにやと嫌な笑みを浮かべながら、魔女擬き一式を回収する少年。
紐を樹に結び付けて振り子の様に動かす、と言う単純な仕掛けだが効果は強く、見た者は皆、悲鳴を上げて逃げるのだった。
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