魔女の森

2/11
1544人が本棚に入れています
本棚に追加
/769ページ
 昼でも日が射し込まない、暗い暗い森の中。二人の少年が、奥へ奥へと歩いてゆく。 「なっ、なぁボリス……。やっぱり引き返そうぜ」 「大丈夫だって、あいつの言う事なんてウソに決まって……」  そう言って、ランタンで辺りを照らしながら進むボリス。もう一人の少年も、続けて跡を追う。 (大丈夫、大丈夫……。魔女なんて……!?)  突如、木々が擦れ合う音が響き渡る。二人は肩をすくめたが、ただ鳥が動いただけだろうと結論付け安堵の息を漏らした。  其の時、 「イ~ヒッヒッヒ!」  黒い影が木々の間から猛スピードで此方に向かって来た。 「うわぁあぁぁ!!」 「出たあぁぁあぁ!!」  其れを見た二人も、猛スピードで此の場を去って行った。そして二人が立って居た所には、紐で吊られた黒い布がゆらゆらと揺れている。 『イ~ヒッヒッヒ! イ~ヒッヒッヒ!』  すると別の少年が近付き、黒い布の中で未だに動き続けるカセットテープを止めた。 「ぷぷっ。ボリスの奴、大丈夫だなんて言っといて真っ先に逃げやがった」  にやにやと嫌な笑みを浮かべながら、魔女擬き一式を回収する少年。  紐を樹に結び付けて振り子の様に動かす、と言う単純な仕掛けだが効果は強く、見た者は皆、悲鳴を上げて逃げるのだった。
/769ページ

最初のコメントを投稿しよう!