現在 ─『終焉』が消えて二年後─

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「藍、みぃ。鳴亜は?」 「庭」 「さんきゅ」 ブルーというコードネームだった少年、葵路神凪(ニックネーム、あお)は、少女鳴亜の面倒を見続けていた。 声を失っただけで言葉が分からないわけではないし、最初の頃こそ無表情だったが、今では四人の中で一番表情が変化する子になっている鳴亜。 その鳴亜に、あおは随分とご執心だった。 「どうした鳴亜。庭に出てるなんて珍しいな」 あおに呼ばれ、鳴亜はあおの姿を確認。とたんに表情がパァッと輝く。 (あお……!!) 鳴亜は喋れない代わりに、念話か筆談で会話する。 鳴亜は一瞬悩んでからある一点を指差す。その先にあるのは、学校だった。 「行きたいのか?」 頷く鳴亜。あおは困った表情をする。 (ダメ?) 中々、ダメとは言い出しにくい雰囲気の中、かつてのパープル、紫道藍華(ニックネーム、藍)が庭に出てきた。 「それくらいなら、なんとかなるんじゃない?」 「そうは言ってもだな……」 難色を示すあお。彼は、過保護なのだ。 「まあまあ。私に良い考えがあんのよ」 「…………」 そこはかとなく不安な、あお。藍の言う良い考えが、本当に良い考えだったことはただの一度もなく、そのたびに苦労するのはあおかかつてのオレンジだったからだ。 ただ、鳴亜の希望に満ち溢れた目を見て、あおは何も言えなくなった。
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