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毎日が最悪だったが、今日は更に最悪な気分だった。
また大学受験に失敗したのだ。これで3浪目だ。
地元を離れたくて、両親を説得してここへやって来て3年の成果がこの結果だ。
両親とてもう許してはくれず、地元へ戻れと言うだろう。だが…
僕は地元へは帰るつもりはなかった。あそこには辛い想い出があり、僕はそれから逃げてきたのだ。
…あれは僕が10歳の時…
忘れ様としても忘れられない出来事だった…そう、今も忘れられないあの夏の暑い日を。
6歳の時に引っ越して来た僕に積極的に声をかけてくる女の子がいた。
彼女とは家も近く、人見知りをする僕が周りに溶け込む事ができたのはひとえに彼女のおかげだった。
後で知った事だが、彼女も僕の少し前に転校してきた転校生だった。
そのせいもあり、彼女とは自然に仲良くなったのかも知れない。何より彼女は所構わず僕に話しかけてきた。
自然、彼女とは仲良くなりいつしか登下校を一緒にする様になり、周りには冷やかされたりもしたが、学校では彼女が1番の親友となった。
…いや…今想えばあれは幼く淡い初恋だったのだろう…
今の僕ならそれを否定はしない。だが当時の幼い僕は違った。それがあの事件へと繋がるとは知らずに…
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