第三章 駆ける電狼たち

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大窓から見える広大な庭園と正門から官邸玄関まで続く縦に長方形の人工池の豊かな水が太陽を反射する。武装親衛隊の隊員が見える中,ベルモント・ゲルランは口を開く。 「ウミガメ作戦は,調整が済み次第に開始するようにする。夜明け作戦中でもかまわない。特にリシュテンハットには,夜明け作戦中,なんとして首都に到達するようにしろ」 「はっ。ハイル,ゲルラン!!」 ルドルフ・アーンゲイリは大きく傾注の姿勢で声高らかに叫ぶ。その声は,総統事務室に大きく響いた。 新年の新しい蒼天の空を,ベルモント・ゲルランは厳しい視線を向けて見る。その視線の向こうに見えるのは雲しかない。だが,その視線の先に見据えるヴィルギナ帝国連邦諸国の未来を,ベルモント・ゲルランは静かに思い描いていた。
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