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富貴子の家庭は段々と落ち着いていった
12月の終わり頃、富貴子の妊娠がわかった
この妊娠を境に旦那様は、優しく、妻思いの夫に戻ったらしい
私達二人はというと…私はエッセイの仕事に追われ、坂本さんも仕事に追われ、一緒に住んでいながらなかなか顔を合わせる事がない
でも時間を気にせず、休みの日は一日ベットにいたり、べったりくっついていた(笑)
卓也は沖縄やいろんな所に行きシャッターを押している
『なあ、りんこ、安部から坂本に名前変更しないか?坂本鈴子にならないか?』
桜の咲く公園で私は彼に本当のプロポーズをされた
『本気?』
『嘘いってどうする。二人同じ姓もいいだろ?仕事で会えなくても、なんとなく安心する。左手にリングはめてみないか』
私はコクリと頷いた
そして二人はそのままジュエリーショップにいき、結婚指輪を買った
翌日ハンコを持ち、卓也を呼び、婚姻届けに署名、ハンコを押した
『姉ちゃん達晴れて夫婦だね!おめでとう!』
卓也は周りおかまいなしに、大声で叫んだ
全てみんなこれからだけど、いろんな秘密、嘘を抱えて生きてきた
それはもうささやかな嘘として、前に進むしかない
未来のためにも人生達の道を進もう
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