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「れいた」
「んー?」
タバコを揉み消して、俺の隣で横になる。
「ごめんな、」
真っ暗な部屋で空を切るようなその言葉は、れいたの耳に届いたのだろうか。
ズンと重たい体を少したりとも動かさずに、俺は言葉を紡ぐ。
「最低だよな、分かってる。でもやっぱり京さんは、大きい。昨日の今日で…、仕方ねーのかもしんねぇけど…
「お前は、なんで静かに泣くんだよ」
自分でも気がつかなかった涙。
「お前の全て、俺が受け入れてやっから…俺の前では強がんなよ」
いつのまにかれいたは座っていて、俺も重たい体を起こした。
お前は、俺に優しすぎんだよ。
こんなに甘やかさないでくれよ。
一人で歩けるように、してくれよ。
「こんなちっこくて華奢なるき一人で背負うには、まだ無理だろ?」
なんでこんな俺を愛してくれんだ。
腕をゆっくり引っ張られて重心を崩したその先は、れいたの腕の中。
肌同士から伝わる温もりだとか、れいたの心音。
「ごめん…ッ…」
「ゆっくりでいい、急ぐ必要なんかねーから」
「ぅん、」
「るきのこと何年間好きだと思ってんだよ」
「ぅん、」
「数ヶ月や数年、経(ヘ)でもないべ」
ギュッと抱き締めて、俺の全てを受け入れると言ってくれたれいた。
俺はまだ未熟で、恋愛をするにはまだ早い子どもなのかもしれない。
こんな俺でも受け入れてくれるれいたのほうが、よっぽどでかい人間だ。
いつもバカしてたけど、俺たちはそこから違った人間だった。
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