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ホテルの一室でブザーが鳴り、
田嶋幸治はいそいそと入口の
ドアを開けた。
そこには、170近くある長身の
スレンダーな女性が立っていた。
顔も、目鼻立ちがクッキリと
していて、コールガールにして
おくには勿体ないような女性
だった。
「お待ちしてましたよ。さ、
入って、入って。」
予想以上の女性を目の当たりに
した田嶋は、浮足立ちながら
女性を中へ通した。女性は、
静かに中へ入った。
田嶋は、二人分のグラスを机に
置き、ワインを注ぎ始めた。
「まずは、一杯やろう。」
ワインを注ぎ終え、椅子に座った
瞬間、田嶋はこめかみに何か
冷めたものが当たる感覚がした。
それが何か分かる時には、その
こめかみに当てられた銃口から
鉛の銃弾が田嶋の頭を貫いて
いた。田嶋の頭からは真っ赤な
花が咲き誇り息をしなくなった。
女=秋野友奈は、たった今、
田嶋を撃ち抜いた、東南方面から
密輸した安物のリボルバーを
ハンカチで拭くと、田嶋の手に
握らせ、ハンカチのままワインの
グラスの一つを手に取り、一口
飲むと、軽く洗って元の場所へ
戻した。
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