弔問

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「選挙は、蓋を開けるまでは何が起きるか解りませんよ。それに第一、村田さんが亡くなられたのですよ。私が駆け付けないで、どうしますか」 「それにしちゃあ、ずいぶんと遅かったじゃないか」  ゆかりは悪態をつきながらもビールの瓶を取り、片岡のグラスに注いだ。  片岡はグラスを顔の前に掲げるように持ち、瞼を閉じた。 「村田さん、安らかに眠って下さい」  数秒の黙祷(もくとう)のあと、片岡はビールを一気に飲み干した。 「そうとう喉が、渇いてたんじゃないのかね。声を張り上げ過ぎなんだよ」  ゆかりは空になった片岡のグラスにもう一度ビールを注ぐと、瓶を彼の前に差し出した。それは『あとは勝手に』と云わんばかりに。
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