卒業式

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 桜咲く3月――  瑞穂達はこの日、卒業式を迎えた。 制服の胸に卒業のしるしである花をかざった瑞穂達は式の後、布津・有馬・深江のいつものメンバーである場所へ集まっていた。 ――国見と瑞穂がよく学校帰りに会っていた喫茶店である。 卒業式なのにいつもと変わらぬ格好、化粧の有馬が言う。 「晴子が誘うなんて珍しいじゃない。何かあったの?」 その言葉に深江も頷きながら瑞穂を見た。 「うん、まあね・・・。  とりあえずもう少し時間かかるかもしれないから何か注文しない?」 瑞穂がメニューを手に取ると、それを布津がひったくった。 「じゃあ俺イチゴパフェとモンブランとハニーワッフルと」 「どれだけ食う気だ!」 窓際の席から外を見ると、駅近くにあるその喫茶店からは帰宅する生徒達がまばらに見えた。 といっても、瑞穂達は名残惜しくて最後まで学校にいたのでそこまで生徒の数も多くはない。 この喫茶店もあまり人が集まるような場所ではないため、こんな日も学生は瑞穂達しかいなかった。 運ばれてきたメニューに早速口をつけながら有馬が言う。 「何よ~、もったいぶって!  さては卒業式だし、何か企んでる?」 「いや~、実は・・・」 カラン、カラン・・・ 言いかけた時、有馬の後ろの方の出入り口から誰かが入って来る音がした。
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