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ペタペタと城内の廊下に響く足音は、薄暗い中を反響していく。
しばらくそんな静かな廊下を走っていると、目の前には見覚えのある青年が立っている。
青と白の制服を纏った近衛兵がプラチナブロンドの髪を持った彼を囲って、真剣な面持ちで散っていく。
緊張感漂うその場から身を隠し、その男を見つめた。
「あの男を必ず私の目の前に連れて来い」
いつになく鋭い瞳で鎮圧させるその威力は、ブレーン一族特有なものだった。
「レイン殿‥こんな時間に一体なにを‥」
“リーフ、こっちだよ”
「‥‥?!」
誰かが耳元で囁いた。
慌てて振り返るが、視界に映るのは誰もいない廊下。
それでも聴こえてくる。
“こっちだよ、リーフ”
辺りを見回しても誰もおらず、リーフは首を傾げた。
誰かの悪戯だろうか。
そう思った刹那、耳鳴りがする。
脳裏に響く甲高い耳鳴りと重なって、走馬灯ごとく何かの映像が溢れ出す。
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