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「早く泣き止ませろよ」
俺がうんざりとした顔で言うと
「どうしても泣き止まなくて」
とクソガキも困り顔で答え
「どうせあれだろ、黄昏泣き」
「あー!そうかぁ!!流石土方さん!」
わざとらしく同意したクソガキが俺から襷を奪うと、ガキを俺の背にあてがい襷で結わいていった。
「おい、何のつもりだ」
「へへっ」
「てめぇ!初めからからこういうつもりだったのかよ」
大広間でにやけていたクソガキの顔を思い出し俺が声を荒げて言うと
「ほぉら、泣き止んだ!あら不思議。土方さん本当に好かれてますね」
と手を打ってクソガキが言うと呆然とする俺を置いて出て行きやがった。
「くそったれが」
俺がクソガキに毒づくと
「・・・泣き止んだ、な」
やれやれと大人しくなったガキを下ろそうとするが
「ぎゃー!!」
とまた泣き出し
「うるせぇって言ってるだろうが。ったく、今日だけだからな」
ため息をついた俺がガキを背負ったまま書類整理を始めた。その間も
「副長、少し宜しいですか」
と何名かの隊士が報告に来たが
「悪いがそこで話してくれ」
と決して障子を開けさせはしなかった。
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