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「んん。私のお父さんを思い出したの」
「………!」
美乃里が言った時の顔を見た時、上総はピンと来た。彼女の遠い思い出に浸かっているように、懐かしむ顔。何処か淋しい顔をしていた。亡くなったのか、彼はそう思った。
「強くて、時には弱かった。そういう面白いお父さんが懐かしい……」
「失礼な事を聞く………いないのか、お父さんは?」
聞いた。美乃里はウンとは言わなかったが、顔が言った。表情が語っている。
「そうか……変な事、聞いた。俺は帰るぞ」
上総はその場を離れようとした。このままいては気まずいと判断したからだ。
「学校は?」
離れようとする上総に美乃里は聞いた。
「明日行くさ。暇だからな」
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