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振り返る事はせず、後ろにいる美乃里に手を振った。
「学校……行くの?」
美乃里は驚いた。学校を嫌がっていた筈の上総が行くと言ったのだ。
「何だよ、悪いのかよ。そのよ、何だ? 暇だからだ、暇だから行くんだ。別に……別に良いだろ?」
途中から上総は照れ臭いのか、小声になり、頭をかく。美乃里はそれを見て微笑した。
「じゃあな」
手を振り、上総はデスクへと戻っていった。
「普通の男なんだ……」
上総の背中を見て、美乃里は落ち着く。だが、背中は依然として淋しいままだった。
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