日 常 が 崩 れ る 時

6/13
50035人が本棚に入れています
本棚に追加
/244ページ
――さて、昼御飯を食べに行くか。 早くしないと時間がなくなってしまう。 私は財布だけを持ってコンビニに昼食を買いに出かけた。 お弁当二人前を袋に詰めてもらい、近場の公園に急ぐ私。 ――誰か一緒に食べる相手でもいるのか? いいや、違う。 これは全部私のだ。 痩せの大食い。 私は世間一般にそう言われている人種だから。 とりあえず公園のベンチに座る私。 そしていざ、お弁当を食べようと口を開けたその瞬間だった。 「……きっ、霧島さん」 異様に高い声が私の背後から聞こえてきた。 この声は間違いない。 「あの、五木さん、何の用ですか? 私、一応昼食中なんですけど」 私は振り返るまでもなく、少し嫌みも込めて彼に返答した。 「それは分かってるよ。それよりもこの手紙の相手、霧島さんは人間だと思うか?」 それよりもってなんだ? 失礼な人だ。 しかし、いつになく真剣な顔で語り出す五木さん。 よく見ると、いつもは糸みたいな細い目が、興奮でもしているのか大きく見開いているではないか。
/244ページ

最初のコメントを投稿しよう!