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――さて、昼御飯を食べに行くか。
早くしないと時間がなくなってしまう。
私は財布だけを持ってコンビニに昼食を買いに出かけた。
お弁当二人前を袋に詰めてもらい、近場の公園に急ぐ私。
――誰か一緒に食べる相手でもいるのか?
いいや、違う。
これは全部私のだ。
痩せの大食い。
私は世間一般にそう言われている人種だから。
とりあえず公園のベンチに座る私。
そしていざ、お弁当を食べようと口を開けたその瞬間だった。
「……きっ、霧島さん」
異様に高い声が私の背後から聞こえてきた。
この声は間違いない。
「あの、五木さん、何の用ですか? 私、一応昼食中なんですけど」
私は振り返るまでもなく、少し嫌みも込めて彼に返答した。
「それは分かってるよ。それよりもこの手紙の相手、霧島さんは人間だと思うか?」
それよりもってなんだ?
失礼な人だ。
しかし、いつになく真剣な顔で語り出す五木さん。
よく見ると、いつもは糸みたいな細い目が、興奮でもしているのか大きく見開いているではないか。
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