番外編

6/34
54471人が本棚に入れています
本棚に追加
/798ページ
「陽菜ちゃんは怖い顔したおじちゃんよりも、菊乃お姉ちゃんが良いよねぇ」 刺々しくそう言えば、馬鹿にするように清吾さんは鼻で笑った。 「……“菊乃お姉ちゃん”、ですか」 「なっ……何よ!?」 そこを突っ込まれると些か恥ずかしくなって、抗う言葉を詰まらせる。 「いいえ、別に何も言っていませんよ?そんな、まさか少々図々しいんじゃないかだなんて、ひとっ言も」 案にそれは図々しいと言っているわけで。 あぁ、もう、無駄に爽やかな笑顔が憎い。 「ちょっと、あんたたち。子供の前でみっともない。喧嘩なら家でやってよね」 私たちを冷たく睨んで、百合姉は私の腕の中から陽菜ちゃんを奪っていった。  
/798ページ

最初のコメントを投稿しよう!