小さな事件①

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「あいつは何処行った?」  高校3年理系B組の教室で俺は怒鳴り散らす。  全く河田はどんな神経をしているのであろうか、授業中には居眠りし先週の土曜日に出した宿題は未だ未提出。挙げ句の果てには逃亡疑惑。親の顔が見てみたいものだ。  気が付けば俺は河田の友人の吉川に怒鳴り散らしていた。俺の勢いに圧倒され、吉川の顔は完全に硬直していた。  しかし、そんなことに気を止めてはいられない。河田という怪しからぬ奴の根性を根本から叩き直してやることで、頭の中は一杯だ。 「おい吉川、河田の居場所は知ってるか?」 「恐らく図書室かと……」 「図書室か……、さっさと捜して連れてこい」  俺は再び吉川に怒鳴り散らした。吉川も顔を真っ青にしながら河田を捜しに図書室へ向かった。
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