終章

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 だが、千華子のように誠実に教員としての仕事をしようとしていた人間ほど、この仕事に着いて行けずに辞めていくのを幾度か見て、疑問に思うようになってきたのだ。  どうして、誠実な人間ほど追い詰められるような仕事に、「教師」はなってしまったのか。  そもそも、そんな仕事を続けていくことに、意味はあるのか。  柚木は、今でも千華子は教師に向いていると思っている。  本当は、千華子のような人間が教師としてやっていくのが望ましいのだ。  でも、今の実情では、千華子のような人間ほど、追い詰められていく。  同じ職場で働く者達も、必死で仕事をやっているのにも関わらず、世間の批判は止まない。  それがわかっているのに、皆耐えていくしかないと思っている。  そんな現実が、柚木は堪らなく嫌だった。  そして、そんな中で教師を続けていくということが、とても疎ましく感じられてしまったのだ。
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