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「……風が泣いてる」
少年は耳を澄ます
小さな時のカケラ……
ピタリと止まる風に、少年は目を細めた。
都会の喧騒が遠くから聞こえる。
少年は薄汚いマンホールの中から見ていた世界から逃げるように中へと引っ込んだ。
バシャッ……
地下水路の鼻につく臭いに顔をしかめることもせず、少年は駆けていく
薄暗い水路を軽やかに走りながら、出た先は……
「…」
汚れた世界
太陽なんて知らない影の世界
「……このコートもダメだな」
水路の臭いのするコートを少年は脱ぎ捨てると、補修のされてない土の道を歩きはじめた。
彼の名前は…………
真夜中のシャドーボーイ
‥
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