狼集団の一匹は笑う狼!!

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うちを拾ってくれて、この時代に拠り辺も何もない一人ぽっちのうちの拠り所になってくれたのが……優しさの始まりだった。 そして、好きだと優しさの理由を教えてくれて。 自分の勝手だと、遠慮を取り除いてくれて。 必要だと……求めてくれた。 そんなうちは…… 「何にもっ……返せない、のに」 与えるものが……ない。 ちっぽけで、弱くて、迷惑をかけてばかりのうちに、九一さんはこつんと、額を合わせてきた。 直ぐ近くにある優しさを浮かべた綺麗な目。 顔をぐちゃぐちゃにしてるうちの姿が映ってる。 「……十分に与えられてる。直。お前はお前が思ってる以上に……私に様々を与えてるんだ。逆に、私が与えてるものが少なすぎる」 またそうやって甘やかして、九一さんの言葉は何も出来ないうちを許してくれる。 否定してしまった狡さをこの優しさに逃げてもいいのかな? 九一さんは許してくれそうだけど……。 若干落ち着いてきたうちは、それを思って苦笑が浮かんだ。 それに対して九一さんは 「……好きな女を甘やかしたいのは、当然だ」 久しぶりに爆弾投下ぁぁぁ!! その爆弾を見事に的中させられたうちの顔は炎上もんすよ!! 九一さんが至近距離で笑みを浮かべてとんでもない発言をしたもんだから、一気に顔に熱が集まったのがよーく分かった。 多分今のうちは、鯉みたいに口をぱくぱくさせている筈だ。 そしてそんな口に掠める柔らかい感触……。 …………。 …………。 「あびばぶでなぶをぉぉぉ!?」 もはや言葉になりませぇぇぇん!! たっぷりの間を有して頭が気づいてしまったよ!! さっき、キス……されたよね? と。 顔に集中した熱が超高温になって、ポップコーンみたいにぱーん! と破裂しそうなんだけど!! 「……気に病まず、甘やかされてればいい。恐怖を受け止められずとも、側にいてくれればいい。……分かったか?」 もう壊れた玩具のようにこくこくと頷くしかなかった。 でも、沈んでいく考え事は……九一さんによって楽にしてもらった気がする。 また……甘やかされて、許されて、うちも何かを与えてると教えてくれて。 今の状況は凄く恥ずかしいけど笑 「癪だね」 ってる場合じゃなかったぁぁぁ!?
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