30/63
13523人が本棚に入れています
本棚に追加
/708ページ
俺はそっと朔夜の頬に触れた 『……』 触れた朔夜の頬は物凄く冷たかった だけど、綺麗な涙はほんの少しだけ温かいような気がしたんだ 少しだけ朔夜の涙を見つめていたら、 頬に触れていた手を掴まれた 「…何処に行ってた?」 『え…?』 「いつもと違う匂いがする」 『…』 突然また訳のわからない事を言い出す 匂い? そういえば颯太んちで風呂借りたな… 『ああ、友達んちで風呂借りた』 「友達?…友達って誰? 曽我くん?」 『そんな訳ねーだろ。俺あいつんち知らねーし』 「…」 あれ なんか、急に部屋の空気が… 「…男?」 『そ、そりゃそーだろ』 少しむくれたような顔をする朔夜 『心配しなくても昔からの付き合いの奴だし、 お前からしたら尾澤さん的存在の友達だから…』 「……」 はい出たシカト 本当、喜怒哀楽が激しいんだよな朔夜は… たった今泣いてたくせに 「じゃあ今度その友達に会わせてよ」 『…は?』 「会わないと俺の気が収まらない。今だってかなり我慢してる」 『……』 「それとも会わせられないような存在の人?」 『アホ!』 ここで俺は颯太が昨日言っていた事を思い出した 男の嫉妬は女より酷い なら朔夜はそれの100倍酷い 俺は掴まれていた手をそのまま朔夜の手に指先を絡ませた すると今度は少し驚いたような顔をした 『だからさっきも言っただろ? お前からしたら尾澤さんみたいな人だって…お前は尾澤さんと変な関係なのか?』 「……」 ようやく理解してくれたのか、 絡めた手を引き寄せられてそのまま抱きしめられた 「よくわかったよ…だけど、憂の友達ならまたちゃんと俺に紹介してよ」 やはり会わなければ気が済まないのか 『わかったよ…また今度な』 「うん」 珍しく朔夜が言う事を聞いてくれた それが何だか嬉しかった ちゃんと俺の事信用してくれてるんだなって だから俺は朔夜の背中に両手を回し、全身の力を込めて… 締めつけてやった 「ゆ、憂っ」 『俺を家出させた罰と尾澤さんちの玄関壊した罰だ!』 その後、逆に骨が折れそうなぐらい締め上げられた やっぱり朔夜には敵わない .
/708ページ

最初のコメントを投稿しよう!