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やがて美味しそうな匂いと、兄の声がする。
「その辺にしとけ、出来たし。」
「ミーちゃん待っててね。私達もご飯食べるね。」
作るといっても簡単な一品料理。
「いただきます、お兄ちゃん。」
片栗粉の溶かしが足りない、形の不揃いな麻婆豆腐。
ピリッと辛いお味は、Sな貴方仕様?
「うん、美味しい。」
「そりゃどうも。」
「あ、写メっとこ。記念すべき初料理記念。」
「そこまでするか?普通。」
「普通じゃないくらいラブなんだもん。」
ふたりの写メは待ち受けに出来ないから、代わりに貴方の手料理。
貴重だもん、お兄ちゃんが料理なんて。
これで携帯開く度に、またしばらく幸せ気分になれる。
食事を終えた頃にはもぅ、仔猫は眠っていて…
「寝ちゃった。ぐっすりみたいだね?」
つついてみても起きる気配なし。
「寒くないかな?何か布団…ベッド連れてく?」
「却下、タオルにくるんどけ。」
「え~?一緒に寝たい。」
「…レイ、お前何か忘れてない?」
「何を?」
「―――お仕置きの時間だ。」
お仕置きと言うには甘すぎる、柔らかな口づけが私を包むの。
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