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なるべく毅然とした態度で佐伯と向かい合う。
スキを見せれば、佐伯にまたはぐらかされてしまう。
良く分からないことを言われて終了してしまう。
これまではソレでも良かったけど・・・
今は・・・私は佐伯のことを、もっとちゃんと知りたい。
「・・・俺のして欲しいことをハッキリと言ったら、ヒナちゃんは俺の言葉通りにしてくれるの?」
真意の分からない無表情のままで私の言葉を聞いていた佐伯は、
ポツリとそう零すと、また俯いた。
目元を覆ってしまった前髪のせいで、佐伯の表情がますます読めなくなる。
「・・・さあ。内容によるけど。」
「・・・・・・じゃあ、あのさ・・・・」
珍しく言い淀む佐伯。
右手で自分の頭を軽く掻きながら、何だか言いにくそうに視線をさ迷わせる。
そして、その視線が私の瞳とかち合うと・・・
「・・・弁当、作ってほしい、かも。
ヒナちゃんの料理が食べたい。」
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
「・・・・・・・・・へ?」
おもわず唇から零れた、間の抜けた返事。
何言ってんの、この人。
な に い っ て ん の 、こ の ひ と 。
何を要求されるのか身構えていたけど、さすがにこのパターンは読めなかった。
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