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「私の目の前にある景色には、あるはずの物が無かったんです。だから一瞬、死んだのかとも思いました。
そんな時、近くにいた子供達が私に寄って来て、話をしているうちに聞いたんです。今が文久三年だと。
私が元居た時代は平成22年。西暦で2010年。この時代から150年位先の時代なんです。
ね?信じられないでしょ?」
信じられる訳が無かった。でも、嘘をついている様には見えない。
皆が困惑の表情を浮かべている。
しかし、土方と近藤と総司は結愛の荷物を見ていた為、本当かもしれないと考えだす。
結愛はまた総司を見つめている。まだ殺さないの?とでも言うように。
総司はそんな視線を断ち切る様に結愛に問う。
「土方さんの事を兄上と呼ばれたのは何故ですか?」
その瞬間、結愛の表情が一瞬曇る。総司も土方もそれを見逃さなかった。
総司は結愛を見据え
「話してください。」
と続けた。
結愛は土方を見ると、絞り出す様に呟いた。
「似ているんです。」
「……あ?」
「一年前に亡くなった、兄に似ているんです。」
「それだけで、あんな行動に出ますか?」
総司は結愛が土方にいつまでも抱き着き、離れなかった事を言っている。
ちょっと似ている位で、あれは騒ぎ過ぎではないか、他に何かあるのではと。
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