僕は白と黒を混ぜた。

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 「あなたは自分を色で例えると何色ですか?」  僕なら迷わず『グレー』と答えるだろう。  今、僕の足下にはグレーの猫が居る。  何かを求めるように鳴き、優しく撫でてやると嬉しそうに喉を鳴らす。  しばらくすると腹まで見せ、完全に油断した姿を見せる。  猫は僕に対し、何の警戒もしていない。  それは『信頼』というよりは、『悪』というものを知らない、そんな所からくる姿だと思う。  この猫は危険にさらされることが無い。  家だけが、この猫の全世界なのだ。  故に、『悪』の存在を認識する機会がない。  そうして猫は安心した様子で眠っている。 「キミは可愛いね。愛だけを与えて貰い愛しか知らない。そんなキミの心は真っ白で、疑うことを知らない。そんなキミを見てるとすごく愛しく思うよ。」  でも‥無性に傷つけてやりたくなる。
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