第1章 【誘拐】

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別に頼んでもいないのに、自然とそうなる。 朱里とは仲良しだから嬉しいけど。 特別扱いされるのは好きじゃない。 あの人…父の娘だからと優遇されることも多い。 小笠原 美華(おがさわら みか)。18歳。 小笠原 大蔵の1人娘。 母はイタリア人。 私は日本人の父とイタリア人でモデルをしていた母とのハーフ。 身長も小さい頃から高く、明るい茶色い髪。 ロングヘアに茶色い瞳…。 それがコンプレックスだった時期もあったけど、今では気にもしていない。 私は幸いなことに母に似た…。 …と言っても父の性格はよく知らない。 小さい頃から、お母さんと家政婦さん達に育てられてきたし、中学2年の時にお母さんが亡くなってからは、家政婦さん達が世話をしてくれている。 顔もろくに見せないくせに、父は私に習い事ばかり強要する。 これは昔から。 茶道、華道、ピアノ、日本舞踊…その他にも色々。 今も続けているのはピアノだけ。 ピアニストになりたい…父には話していない夢。 でも、きっと父は許してはくれないだろう。 大学を卒業したら、きっとどこかの御曹子と見合い結婚をさせられるに決まってる…。
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