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「・・・屋上から見えない部分は、俺達がカバーするしかない。気を抜くなよ?」
不意にレンは周りにいる捜査官達に呼びかけ、緊張感を保たせる。
すると、一人の男が何やら動き始めた。
「少し探索して来ます・・・ジッとしてるのもあれなんで」
「おいおい、やめとけって」
言い出した捜査官に、レンは呆れ口調で言葉を返す。
「でも、ビルの陰に隠れて奇襲されたら、状況は不利になりますよ。ちょっとだけ見てきます」
そう言って、一人の捜査官はどこかに歩き出した。
「なら俺も。単独行動は危険なんで」
探索に向かう捜査官の相棒らしき男が、後を追うように歩き出す。
「洒落になってねぇって」
レンは止めるが、意地でも探索に行くらしい。
彼らはモンタナ州支部の捜査官達。
実力はあるが、任務にいくとしばらく帰ってこない放浪癖があることで有名な二人だ。
「レンさん。あいつらは止めても無駄ですよ。支部長の言うことも聞かない奴らですから」
同じ州支部の男が苦笑混じりに言い放ち、レンはため息をつく。
「そういうことを言ってる場合じゃねぇんだって・・・今回はな」
レンは周辺にいる戦力が分裂することを望んではない。
例え必要な探索であっても、相手が悪過ぎるからだ。
そんなことを考えている間に、二人はもうレンの視界から消えていた。
大通りから横道に行ったんだろう。
探索に向かった二人を止めに追うにしても、危険度が増すだけだ。
「チッ、あいつら・・・」
レンは腕を組み、再びため息をついた。
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