Doubt~疑念

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Doubt~疑念

RRR…━━━━ 「あんたのが鳴ってるぞ?」 キースの指摘で、ダグラスは自分のポケットの中から流れる電子音に気付いた。 いくら『天照』の連中を蒔いたからとはいえ、考え事をしていて周囲への意識が散漫するとは…ダグラスは自嘲的な気分になりながらも、携帯電話を出して通話ボタンを押した。 「はい?」 (ダグ、今どこにいる?) 声がサクティだとわかると、ダグラスは少し安堵した。 「サクティ、何て最高のタイミングだ。今ちょうどそっちに行くところだったんだよ。」 (リチャードから聞いたよ━━━━『天照』の連中とやりあったんだって?) 「ああ、そうだ。キースのところに用があったらしいぜ?ご丁寧にサプレッサー付きの拳銃(ハンドガン)なんか持ってな。」 ━━━━サクティの様子がおかしい事は、すぐにわかった。 「どうしたんだよ?随分元気ないな。」 (お前…ミスターアランの事は知ってるか?) ミスターアラン━━━━彼を知らないわけがない。大統領(ホワイトハウス)に対して太いパイプと発言力を持つ上院議員でありNRAのお偉いさんで、そのくせ裏では『アークファミリー』の上級幹部会とも仲良しな大物だ。 「当たり前だ。電話番号を交換するほどの仲良しじゃないが━━━━」 (もしかしたら、ミスターアランと対立することになるかも知れない。「…どういうことだよ、それ。」 ダグラスの表情にキースは思わず不思議そうな顔をして訊いた。 「なあ、どうし━━━」 「少し黙ってろ。それでサクティ、何で『アークファミリー』がミスターアランと対立なんかするんだ?お前んとこの上級幹部会は彼と仲良しこよしだろ。」 邪魔者扱いされたキースは、ただ隣りで繰り広げられている一方的な言葉を聞くことしかできずに口を閉じた。 (俺達じゃない。お前か…あるいはキースが対立するかも知れないんだよ。) ━━━━自然と、ダグラスの視線は隣りに向く。 「な、何だよ。黙ってろって言ったのはあんただぜ?」 そう言ったキースの目の前に、ダグラスは手のひらをかざして発言を遮った。
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