beautiful feather

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急に雨が降ってくるなんて聞いてないよ…… 天気予報では雨が降るなんて一言も言ってなかったもん…… 私は今とあるお店の軒下で雨宿りしている タオルも何も持ってきてないから身体を拭くことも出来ないし 「なんでみんな傘持ってるの……」 私は一人そう呟いてみる まぁ折りたたみ傘も持ってなかった私も悪いような気がするけど でも降らなくたっていいじゃん…… 友達はみんな家の方向が違ったり彼氏に入れてもらったり迎えを呼んだり 私は彼氏もいないしお母さんは免許持ってないしで迎えにも来てもらえない…… 傘を買おうにもこんな日に限ってお財布を忘れてる こうなったら走って帰るしか…… そう思った時一人の女の人が視界に入る その人も傘をさしていなくて でも不思議と濡れているようには見えない 髪は長くて少し茶色がかってる 同性の私でも見とれちゃうくらい綺麗 そんなこと考えているとその人は私の方に歩いてくる どうかしたのかな…… 「隣いいかしら」 その人はそう微笑む あ、雨宿りか でも全然濡れてないように見えるのは気の所為かな…… 知らない人だけどなんだか話がないっていうのも気まずいな 「えっと、雨本当に急に降り出しましたね」 私がそう話しかけるとその人は一瞬驚いたように目を丸くする 話しかけられるなんて考えてもいなかったのかな でもその人は柔らかく微笑むと私の言葉に返事をしてくれる 「そうね、傘なんて持っていなかったから少し焦ったわ」 「私もです 折りたたみ傘も普段から持っていないので」 この人も持ってないのかなって思ってその人を見てみる ……あれ? この人何も持ってない お財布はどこにも入れるような場所はない けど鞄も何も持ち歩いてない、なんてこともないだろうな 「私は、どうだったのかしら……」 『どうだったのかしら』……? どういうことだろう…… まるで自分が自分でないような言い方 普通は『どうだったかしら』だよね 言い間違えかな でも折りたたみ傘を入れるような鞄も何もないし持ってないっていうのは一目で分かるから思い出すまでもないと思うんだけど
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