転校2日目

2/36
1354人が本棚に入れています
本棚に追加
/347ページ
「これは、これは……」 現場に到着した橘は、目を丸くしていた。 住宅街に面した道路から駐車場にかけて、散乱した自動販売機の残骸は、ここで繰り広げられた死闘の痕跡であったが、それを知らぬ者達にとって、真に不可解な現場であった。 「遠山さん、いったい何が、起こったんだろう?」 近くにいた鑑識係に尋ねるが、首をひねるばかりで返答がない。 暴力団の抗争だって、こんなに派手にはならない。 「橘さん、自販機を壊したのは、これみたいです」 他の鑑識員が透明な袋に入れた証拠品を橘に示した。 採取されたのはピンポン玉より一回り小さい銀色の鉄球だった。 「こんなもので、自販機が壊れるもんなんですか?」 橘が疑問のまなざしで問う。 「高速で射出されたようですね」 自販機にめり込んでいた部分を指して、遠山が言う。
/347ページ

最初のコメントを投稿しよう!