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「それに、その後自販機を設置場所から外して、散乱させた……重機でも使ったんでしょうか?」
遠山鑑識員はひざまずいて、アスファルトに残った擦過こんを確かめながら話す。
「それは無いんじゃないかな。ATM狙いならともかく。それに犯行時間は30分程度だったようだし……。自販機のセキュリティシステムの通報から、それはわかってるんだが……おかしなことに目撃情報が全くない」
「目撃情報がない?」
遠山が立ち上がって聞き直す。
「そうなんだ。目撃はおろか、これだけの惨状なのに騒ぎを聞きつけた者もいない」
「橘さん!」
聞き込みをしていた刑事が、橘に耳打ちする。
「監視カメラもアウトか……」
思わず落胆する。
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