神に願いヲ。

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少し前にかわったばかりの数学教師が、自分は決して前任教師の代替品ではないと教鞭に熱をいれている。 教室内は鉛筆がノートを走る音の群れで満たされる。 窓際の後ろの方では、ラブコメの主人公のような奴が静かに寝息をたて、その隣の席の子がそいつを愛おしそうに見つめ、その前の席の子がその子を羨ましそうに見ている。 廊下側の席の人達は、小声で放課後遊びに行く約束をしている。 僕の後ろの席では野球部のエースが早く部活をやりたそうに鼻息を荒くして目を血走らせている。 皆が何かの目的を持って行動しているこれが普通。 だけど僕は。 なにもせずただぼうっとしている。
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