凡才の話 -1-

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――ふと、昨日の夜読んでいた小説を思い出した。 叔父や叔母、従兄弟にいじめられていた主人公が、魔法学校に通って、色々な事件などを解決していくお話。 まだ、三巻を読んだばっかだけど、結構面白いと思う。 この小説が書かれてから五百年。 今では魔法が常識となっている。 今は西暦2507年。 7年前に最初の魔法使い、イエス・キリストの生誕2500年のお祭りが世界各国で執り行われた。 その時私は、まだ10歳だったから、そのお祭り騒ぎの理由を完璧には把握できなかったけど、なんとなく楽しくて兄と一緒に喜んだものだ。 私の名前は不知火花音。 私立武蔵魔法学校に通う普通の高校生。 そう、普通の。 テストをやれば平均点。 学年順位も311人中156位。 体力測定もAからD判定でC判定。 どこにでもいる平凡、とは言い難いけど、全てが平均、それが私。 そんな私の非凡なとこは、天才な兄がいること。 テストをやれば、常に満点。 学年順位はもちろん一位。 体力測定はAにプラスがつく勢い。 そんな兄に、私は劣等感や嫉妬心を抱くことなく、こうして育っている。 それは父だったり、家の使用人達が私たちを平等に扱っていたこともある。 まあ、男女の差、ってのもあんのかな? 次元が違いすぎるってのもある。 ……ただ……  
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