第一章

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「あと、これは僕から」 沖田さんは、竹の皮で編まれた四角い箱を私の前に置いた。 箱の中には、紺の生地に白い花がいくつか描かれている着物と、可愛い花の描かれた硝子玉が付いている簪が入っていた。 「これなら、普段も、それに祭の時も挿せるでしょ?」 「いいんですか?」 「お金もないんでしょ?」 「未来のものなら多少は持ってますけど」 私が笑うと沖田さんも笑った。 「もうすぐ、この辺りで大きな祭があるんだ」 「お祭り、ですか?」 「うん」 沖田さんは楽しそうに笑う。 「君はずっと屯所の中で引きこもりっぱなしだろ?」 「だから、祭くらい連れて行ってあげようかなって思ってさ」 「本当ですか!?」 「一番組の皆も一緒だけどね」
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